東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)<愛称:円奏会>の純資産総額(残高)が初めて6000億円を突破しスマッシュヒットしています。
この投資信託を私の主観で仏陀切りしますので、ご参考ください!
どんなもの?
投資対象
日本債券 70%
日本株 15%
国内REIT(不動産)15%
相場のタイミングによっては株式とREITの比率を下げ短期金融資産(現金)で保有する、というもの。
2019年5月末現在の株式組み入れ上位10社も明らかに配当利回りを意識した組み入れになっています。
手数料
- 購入時手数料は最大1.5%(税抜)
- 信託報酬は0.84%(税抜)
- その他
となっています。高くもなく安くもなく、といった感じ。
日本の金利事情を考えると、このコストが重荷に。
なぜ売れている?
販売会社が多い
銀行を中心に多くの販売会社を抱えています。国内証券会社でも最大手の野村ほか日興や三菱モルガンスタンレーでも販売しています。
私も野村證券の営業マン時代に、東京海上の人が支店にやってきて開催する当ファンドの勉強会に参加したことがあります。
その当時は( ^ω^)・・・「このファンド全然特徴がねぇな。支店長はなんでこんなファンドの勉強会開いたんや。」と思っていました。今もそう思っています。
時期が良かった
設定開始時期が良くチャートが右肩上がりで知識のない銀行窓口の社員でも円建で売りやすいのでしょう。
アベノミクスの恩恵を最大限に受けたファンドともいえるかもしれません。
どこに問題がある?
パフォーマンス
純資産の7割を占める債券の最終利回りは0.24%です。マイナス金利政策を導入している日本ならこんなもんでしょう。
最終利回りが0.24%なら運用コストを差っ引いただけで赤字になることは目に見えています。実際、信託報酬が0.84%なので債券部分だけなら赤字運用ということです。
( ^ω^)・・・「運用の意味ネー」
販売側のセールストーク
プロの金融営業マンもアフィリエイターも投資系インフルエンサーも皆同じで、自分に都合のいい形のチャートを切り取りポジショントークをします。
今回の円奏会のようなファンドであれば、「右肩上がりにこれまで成長しており、今後も期待できます。」と軽々しく言います。
資産の7割が利益を生まないこのファンドに何の価値があるのかは疑問です。
保有の債券価値が上がるためには金利が今よりも下がる必要がありますが、日本の金利市場のどこに金利下落余地があるのでしょうか。
買付側のリテラシー不足
株価500円の三菱UFJと株価150円のみずほ、どちらが安いですか?
基準価格30,000円の投資信託と3,000円の投資信託、どちらが安いですか?
「そりゃあみずほの方が安いし、3,000円の方が安いよ。」と何の疑いもなく言う方がいます。
比較の尺度が「価格の絶対値」である素人投資家は実際に大勢います。
まとめ
この投資信託は全くオススメできません。
債券ファンドであれば野村PIMCO世界インカム戦略ファンドをオススメします。
債券運用といえばPIMCO、債券をアクティブに運用し、世界一ノウハウを持っている会社に一任することができます。PIMCOは国家相手に国債発行を提案するような世界トップの債券運用の会社です。
債券や安全資産としての投資を考えているならこちらの記事に”個人でできるリスクコントロール運用”について書いてあるのでご参考ください。