売れてる投信を調査検証します。
本日は、野村證券でのみ販売しており、750億円を集めた『野村ハイベータ日本株1903(早期償還条項付)』を検証していきます!
ベータ値とは
「市場感応度」ともいいます。ある証券(銘柄)の変動の大きさがベンチマーク(市場平均)の価格変動に比べて大きいか小さいかを示す指標です。ベータ値が1であれば市場平均と同じ動きをしている状態を指し、1からの乖離幅で相関性を表します。
参考
日経電子版>マーケット>ランキング>β(ベータ)値で検索できます。
どんな商品?
販売会社は野村證券1社です。日本株市場平均(日経平均やTOPIXなど)に対しハイ(高い)ベータ株を中心に組み入れるファンドです。この商品は下落局面では、普通の投資信託よりも損する可能性が高いということも忘れてはいけません。また、運用設定から基準価格が2割上昇すれば早期償還する、という早期償還条項付です。
ポイントはここ!
上記にも触れたようにベータ値の高い銘柄は個人投資家でも調べられます。
わざわざ手数料を払ってまでファンドで運用するメリットは
- 計量分析による銘柄選定
- 上昇時のベータが下落時のベータに比べて高くなるポートフォリオの構築
賢い大人たちの金融工学を用いた運用は個人投資家が行おうとすることは実際とても難しいです。
『金融工学を勉強する時間を買う』と思えば手数料3%、信託報酬1%は決して高いとは思いま、、、、
す!
もっと安くしろよ!、というのが購入者の心理ですよね。
弱点はここ
販売用資料の「ハイベータ株運用(試算)」をご覧ください。
このグラフはリーマンショックのどん底から這い上がる時からの株式市場のグラフです。
もし、運用開始直後に暴落をくらってしまえば・・・。投資原資が大きく削られるため、反発のリターンを十分に享受できない可能性があります。リスクの高い(ブレ幅が大きい)商品は、注意が必要です!
なぜこの商品が売れたの??
この投信は単位型(追加出資不可)で750億円を集めており、昨年来の当初設定額ランキングをみてもかなり売れたファンドです。
私が思う売れた理由は3つです。
- 野村證券の圧倒的営業力。野村が動けば相場が動くとも言われた最強の国内証券ですので、その販売力はやはり強い!
- ここ5年くらいは押し目買いが全て吉とでていること。アベノミクス以降、チャイナショック、ブレグジットなど相場の急変はありましたが、今では日経平均2万円は当たり前という強気マインドが個人投資家にも浸透しつつあるのではないでしょうか。
- 繰上償還条項が営業マンのモチベーションを上げた。これは、実際に私が野村證券のリテールとして働いていた経験に基づくものですが、現在の証券営業は色々な制約(しがらみ)があります。その制約の1つが『気軽に投資信託の短期間での売買を促してはならない』というものです。営業マンの飯のタネでもある販売手数料がこのルールによって縛られているため、繰上償還ルールがついた投信は普通の日本株投信を買うよりメリットがあるのです。
そもそも日本株の見通しどうなの?
販売用資料では反発が期待される日経平均株価として、PER水準の割安さから反発が期待できると書いてあります。
直近の日経平均とNYダウ平均のチャートを比較してみましょう。
このグラフを見て、貴方はどう思いますか?
多くの投資初心者が
「おお!アメリカに比べて日本株は戻りが弱い(PER水準が割安)だから買おう!」
と思うでしょう。
株式投資の世界には「市場(マーケット)は常に正しい」という格言があります。
割安に放置されているということは、割安でも買われない理由があるということです。単純にマーケット参加者が日本企業の業績は上がらないと考えているのかもしれません。
まとめ
単位型なので、もう追加で買うことはできませんが、この商品を買った、いや、買ってしまった皆さま、、、
ご愁傷様です
完全に高値掴み感がありますね。償還まで気長に待ちましょう!あのITバブルど高値でつかんだ『ノムラ日本株戦略ファンド』でも、もう戻ってきていますから(15年塩漬け)!
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