【投資信託】ノムラ日本企業価値向上ファンドについて

15年ぶりの日経平均2万円超え、金融緩和、ROE、5頭のクジラ
日本企業価値向上ファンド限定型が1000億円以上も投資家から集めたのはこんな時代でした。

2015年4月に販売された日本企業価値向上ファンド
この時はアベノミクス全盛期といった日本株祭りのような雰囲気でした。
2019年年始のアップルショックから素早く立ち直ったアメリカ株に比べ、日経平均はなんとも不甲斐ない状況。
企業価値向上ファンドに投資した方もそろそろ手放そうかと思っているかもしれません。

元々は限定追加型として注目を集めた企業価値向上ファンドですが、あまりの人気でオープン型(いつでも購入可能)が現在も販売されています。

日本株への投資を検討している方、アクティブ国内株式ファンドを購入しようと思っている方、企業価値向上ファンドの売り時を考えている方などを対象に、企業価値向上ファンドの行く末を考えてみます。

日本企業価値向上ファンドとは?

野村アセットマネジメントを運用会社とする国内投資信託です。
「国内の株式のうち、独自の手法により選定された企業価値向上の余地が大きいと思われる銘柄群から、ボトムアップアプローチに基づき、組入銘柄の決定、ポートフォリオの構築等を行う」とあります。

ポイントはNAM(Nomura Asset Management)が企業価値をどう判断するか、です。

限定追加型は5割上昇で早期償還条項がついています。

ROEってなに?

簡単にいうと株式を発行して得たお金を”どれだけ効率的に使って”利益を稼いでいるか!の指標です。業種によっても変わりますが、目安は8%です。2019年4月から実施されている働き方改革による生産性向上が叫ばれている時代背景とも重なりますね!

なぜROEが注目されだしたの?

ROEという指標はこれまでも使われていたものですが、PERやPBRといった「1株当たりどれだけ利益が出ているか、どれだけ純資産を持っているか」という指標のほうが重要視されていました。しかし、近年日本株売買のメーンプレイヤーは外国人投資家です。外国人投資家は自分たちが出した資金(株主資本)でどれだけ利益を上げられるかという企業の力を重要視しています。よってROEが注目され始めました。

ROE改善ってなに?

ROEの計算式は 当期純利益÷株主資本×100です。ROEを上げるには分母(当期純利益)を大きくするか、分子(株主資本)を小さくするという方法があります。株価を上げたい企業は、株主資本を小さくするため会社の中でプールしていた余剰資金を使い、自社株買いを行うようになりました。自社株買いを行うことで分母が小さくなりROEが上がります。しかし注意しなければならないことは沢山あります。ROEの妄信は禁物!自社株買いした株を消却しなければ意味ありません(いずれ市場に出てくる)。また株主資本ではなく銀行からの融資(他人資本)が多い企業もROEが高くなります。ROE投資がテーマだった当時だからこそ日本企業価値向上ファンドは誕生しました。#知らんけど

クジラってなに?

2015年ごろから株式市場で「クジラ」という言葉が誕生しました。株式市場における「クジラ」とは豊富な資金力を基に、株式や債券を購入する「公的マネー」のことです。日銀、GPIF(年金)、共済年金、ゆちょ銀行、かんぽ生命の5頭のクジラです。クジラが好んで買いそうな要件に「高ROE銘柄」があり、上記のROE改善が積極的に進められていました。

日本株式市場の見通し

「3月8日月次レポート抜粋」

○ 今後の投資環境
世界経済の動向に大きな影響を与える米国経済は個人消費の好調などで着実な成長を続けています。10-12月期の実
質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率+2.6%となり、前期の同+3.4%から成長ペースは鈍化したものの堅調な結果と
なりました。FOMC参加者の発言や1月会合の議事録などから、当面、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを休止し、
2019年は結果として利上げが行なわれない可能性が高いと見ています。当社では、2019年の実質GDP成長率は前年比
+2.4%と予想しています。
2018年度国内企業の予想経常利益は、前年度比4.9%増(野村證券金融経済研究所予想によるRussell/Nomura Large
Cap[除く金融]、2月28日時点)、2019年度は同7.6%増(同上)となることが予想されます。また、株式市場については、
2018年度の予想PBR(株価純資産倍率)が1.43倍(同上)と過去に比べて割高感はなく、景気と企業業績に対する期待が
高まるにつれ、上昇すると見ています。
○ 運用方針
東京株式市場は10月以降大きく下落しましたが、年明け以降は米国の利上げ懸念や米中貿易摩擦への懸念が和らぐ
中、徐々に回復してきています。国内経済では長期にわたる金融緩和策や良好な企業業績と雇用環境の継続、米国経
済では堅調な雇用情勢の継続や財政拡大、中国経済では景気刺激策による景気の下支えなどを背景に、中期的に世界
景気は緩やかに成長していくと考えています。堅調な企業業績が継続する中での調整局面は、株主還元を積極化する機
会となり、当ファンドの超過収益の追い風になると考えています。組み入れにあたっては、ROE(自己資本利益率)や余剰
資金水準などに基づく企業価値向上の「余地」、および経営陣の株主還元などを通じた企業価値向上への「意欲」の2つ
の視点で銘柄を厳選して投資を行なっていく所存です

やはり注目はアメリカの利上げ見通しだ。
これまでは米利上げ>日本金融緩和継続>金利差拡大>ドル高円安>日本株ウェイウェイだったが、
米利上げに?がつけば、資金の逆回転が起きることとなるので、日本株投資については引き続きアメリカの金利動向には注意が必要です。

また予想PBRに割高感がないとのことですが、個人的には現状PBRが注目される指標にはならないと思います。GAFAなどアメリカを中心としたハイテク企業の高成長に引っ張られてきた株式相場でしたが、現在その高成長に疑問符が付き始めています。
しかしこれほど世界金融緩和状態の中、大きくリセッション(景気後退)入りするとは考えづらく、市場は新たな成長産業を探すでしょう。
割安銘柄を見つけるのではなく、成長銘柄を見つける投資環境においてPBRは注目されない、と俺個人は思っています。